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開校記念式典

式辞

 本日ここに、群馬県立前橋西高等学校第43回開校記念式典を、同窓会長 新井 義宗様、PTA会長 内田 美智子様をはじめ、PTA本部役員の皆様のご臨席を賜り、挙行できますことに対し、厚くお礼申しあげます。

 本校は、昭和58年、地域の方々からの大きな期待を受けここ清野町の地に開校いたしました。前年の昭和57年11月1日、初代矢口校長を含め四名による開設準備室が高崎北高校内に設置され、以来この日を創立記念日としています。

 昭和58年4月、1学年6クラスの普通科高校として開校し、教師と生徒が一丸となって学校作りが進められてきました。

   昭和61年には、英語科が新設され、平成元年には、1学年8クラス、合計24クラスの大規模校となりました。当時、英語科の設置は、関東の公立高校では初めての試みでもありました。

   平成9年には、英語科が国際科へと学科転換し、英語だけでなく第二外国語として様々な言語の学習が可能となりました。

   以後、少子化の影響により時代とともにクラス数は減少し、現在は、普通科と国際科からなる12学級、生徒数462名の学校となっています。

   開校時に掲げられた「高い知性、豊かな情操、健全な心身を涵養し、国際社会に貢献する人材を育成する」という教育目標は、多文化共生社会における他者との「つながり」を重んじる現在の本校のスクールポリシーとして脈々と引き継がれています。

   単に知識の獲得に留まることなく、それぞれの学びをつなぎあわせることによって目の前の課題を一つ一つ自分の力で解決していく実践的な思考力、また、自分自身と真摯につながりみずからのできることを最後まで粘り強く取り組む精神的な強さ、そして他者とつながるために、自分の考えを自分の言葉で誠実に伝え、同時に相手の考えや立場を理解し受け入れる、広い意味でのコミュニケーション力、これらの「つながる力」は、本校が創立時から大切にしてきた教育活動の根幹をなすものであり、同時にこれからの不確実な未来を生き抜く上で、本校に限らずすべての人々に必要とされる共通の資質であると考えます。

    現代社会は、様々な課題を抱えています。地球温暖化や異常気象などの環境問題、貧困や経済格差の拡大といった経済的課題をはじめ、我が国を含めた先進国では少子高齢化が進み、労働力不足や社会保障費の増大が深刻化しています。さらに、国際的な紛争が絶えることがなく、移民問題、感染症拡大など、人々の安全と平和を脅かす要因はむしろ増加しているといえます。

  どんなに大きな能力を持ち合わせていたとしても、何事も一人の力でなし得るものは決して大きくありません。これら現代社会の抱える多様な課題を一人の力で解決していくことは不可能です。多くの人と人とがつながり、知恵を出し合い、それぞれの力を合わせることにより、平和で持続可能な社会の実現が可能なものとなります。

    平和で持続可能な社会の実現に向けて、今君たちのできること、やらなければならないこと、それは自分を大切にするということです。自分自身を最大限成長させ、望む進路を実現し、自分なりの幸せをつかみ、充実した人生を過ごすことに全力を傾ける。自分自身が笑顔でいられなければ、他人を笑顔にすることはできないからです。自分自身の高校生活を、自分自身の人生を、そして自分という存在をぜひ大切にしてください。

   しかし一方で、進路実現、自身の幸せは一つの目標、ゴールではあっても、人生における最終ゴールとは言えません。豊かな人生を送る自分をもって、社会に貢献すること、人生における様々な学びを自分の幸福のためだけでなく、社会全体の幸福のために広く還元することに人生の大きな意義があると考えます。

   君たちの人生は、君たちだけのものではない。未来から期待された人生であるということを頭のどこかにとどめておいてほしいと思います。

   自身の幸せをつかむと同時に、未来の幸せな社会を構築するために学ぶ、その学びがこの前橋西高校にはあります。

   

   本校では、これからも「つながる」教育を力強く進めていきます。学びをつなぎ、自分自身とつながり、仲間と地域社会とそして世界とつながる、未来を拓く教育です。

   本校での学びを通して、多様性に富み、様々な課題を抱える未来の社会において、行動できる「人財」、自分の笑顔をもって世界中の人々を笑顔にできる価値ある「人財」として、大きく成長してほしいと切に願っています。

   本日の開校記念式典に際し、西高生一人一人の未来、そして西高生のつくる未来の世界を心から楽しみにするとともに、それに向けた西高生の今後の益々の活躍をおおいに期待して式辞といたします。

    令和7年10月31日

      群馬県立前橋西高等学校 校長 大島 永