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2024年3月の記事一覧

第39回卒業証書授与式

3月1日(金)<卒業証書授与式式辞>

 草木もようやく長い冬の眠りから覚め、生命の息吹が感じられる季節となりました。そのようななか、同窓会長 新井義宗 様、PTA会長 田島由里 様をはじめたくさんのご来賓の皆様、保護者の皆様方のご臨席のもと、第三十九回群馬県立前橋西高等学校卒業証書授与式を挙行できますことを、心より御礼申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与しました百五十名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。皆さんが本校所定の教育課程を無事修了し、本校を卒業することはこの上ない喜びです。
 皆さんが入学した3年前は、コロナ禍の中、多くの制約がありました。感染防止が最優先され、密集を防ぐことから分散登校も経験しました。学校行事についても規模を縮小したり時間を短縮したり、制限があっての実施でした。2年生になってほぼ通常の学校生活が送れるようになり、3年生では、感染症の位置付けが5類に移行されたことにより、行動制限もなくなって、友達と笑い合い、やっと賑やかな学校生活を過ごせるようになりました。世の中で、新型コロナの扱いが大きく変わった、皆さんの過ごしたこの高校3年間は、大きな時代の転換点に位置していたといってもいいかもしれません。皆さんは、コロナ禍の中で高校生活を送り、新型コロナウイルス感染症を乗り越えた世代として、これから先、記憶されることと思います。
 高校時代は一般的に多感な時期と言われます。コロナ禍でなくても、高校時代は、将来の進路を選択しなければならないこともあり、悩み多き時期でもあります。入学してから今日までの3年間を思い返してみてください。友人と時に衝突したこともあるでしょう。部活動の厳しい練習を乗り越え、試合で力を発揮して自分に自信を付けた人もいるでしょう。今日の日を迎えるまでに、みなさんには、並ひととおりの言葉では言い表すことのできない様々な出来事があったことだと思います。それらの日々を乗り越えて、みなさんは3年前より大きく成長しました。大学や専門学校へ進学し、より専門的な勉強をする人、企業に就職して社会人となり、仕事に励む人、これから進む道は人それぞれですが、この前橋西高校で学んだこと、前橋西高校で過ごしたことに自信を持って新しい世界に旅立ってください。
 新しい門出を迎える皆さんに、はなむけとして二つお話ししたいと思います。一つ目は、自分の人生に自分で責任を持つということです。高等学校を卒業するということは、どのような道を歩む場合でも、あらゆることに自己責任を求められる大人になるということを意味します。子どもの時には、保護者や学校の先生が教えてくれたとおりに生活していればよかったかもしれません。しかし、これからの長い人生の中では、選択、決断をしなければならないことが幾度となくあります。自分で決断をせずに他人に任せたら、その時は悩むこともなく楽かもしれませんが、もし、うまくいかないときには絶対後悔することでしょう。信頼できる人のアドバイスをもらうことは必要ですが、最終決断は自分で行うべきです。自分で決断したとしても必ずうまくいくとは限りませんが、それでも、自分で決断したことなら困難なことに出会っても、その困難を乗り越えるために取り組むことができます。自分のできることを考え、前向きな気持ちで実行していく、失敗してもあきらめず粘り強く取り組む。そうすれば必ず希望の光が見えます。自分の判断基準をしっかりつくり、自分で選択した自分の人生を、自分らしく生きていってください。
 二つ目は、他人に対して思いやりと感謝の気持ちを持つということです。思いやりや感謝の気持ちを持つことについては、これまでも始業式や開校記念式典などいろいろな場面で度々皆さんにお願いしてきました。多文化共生社会に生きる皆さんに真に必要な心だと思うからです。人間は社会的動物と言われるように、人とつながりを持って社会の中で生活しています。どのような個人であれ、社会の一員としての立場がなくなるわけではありません。社会の中で、みんなが支え合って生きていること、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たしていることを忘れないでください。それが、思いやりの心、人のために何かやってあげようという気持ちにつながります。そこから、人との強い結びつきが生まれ、感謝の気持ちもわいてきます。人のために率先して動くことのできる、そんな人になってほしいと願います。
 終わりになりましたが、保護者の皆様方にお祝いとお礼を申し上げます。本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。これまでも小学校や中学校で卒業と言う節目はありましたが、高校の卒業というのは子どもの手が離れる子育ての大きな節目になると思います。今日の佳き日を迎え、成長されたお子様の姿に、感慨もひとしおのことと存じます。教職員一同、心よりお慶びを申し上げますとともに、今日まで本校にお寄せいただきましたご支援、ご協力に深く感謝を申し上げます。
 結びに卒業生の皆さんが末永く幸多き人生を送られることを願って式辞とします。
           令和6年3月1日
            群馬県立前橋西高等学校 校長 原 美智子